

1 法人が支出した寄附金の損金算入
法人が国や地方公共団体へ寄付した寄附金及び指定寄附金は、その全額が損金になります。一方、上記以外の寄附金は、一定の限度額までが損金に算入できます。
法人が支出した一般の寄附金については、下記の計算式に基づき、損金に算入されます。
(1)一般寄附金の損金算入限度額
ア 資本又は出資を有する法人
{所得金額×(2.5/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(2.5/1,000)}×1/4
イ 資本又は出資のない法人
所得金額×(1.25/100)
(2)国等に対する寄附金及び指定寄附金
法人が国や地方公共団体に寄付する、寄附金及び指定寄附金は、その支払った全額が損金に算入されます。
(3)特定公益増進法人に対する寄附金
法人が特定公益増進法人に寄付する寄附金は、次のいずれか少ない金額が損金に算入されます。
- 特定公益増進法人に対する寄附金の合計額
- 特別損金算入限度額
(4)特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
法人が特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭は寄附金とみなされます。寄付金とみなされたうち、認定特定公益信託は、特定公益増進法人に対する寄附金に含めて損金算入額を計算します。
(5)認定NPO法人等に対する寄附金
法人が認定NPO法人等に寄付する寄附金は、特定公益増進法人に対する寄附金に含めて損金算入額を計算します。

2 法人が第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ
法人が第三者に対して債務免除を行った場合、その債務免除額は損金の額に算入できるかという問題があります。
この点につき、法人税基本通達9-6-1(4)は、法人の有する金銭債権について、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額は、その明らかにされた日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することとしています。
そして、「相当期間」とは、債権者が債務者の経営状態を鑑みて、回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいい、個別具体的に判断されます。
また、債務者に対する債務免除の事実は書面により明らかにされていれば足りますが、しっかり証拠を残すという観点からは、内容証明郵便等による交付や、公正証書等の公証力のある書面によることが望ましいといえます。
3 コロナウイルスの影響による賃料の減免
なお、国土交通省の通知により、新型コロナウイルスの影響により賃料の支払いが困難となった取引先に対し、不動産を賃貸する所有者等が当該取引先の営業に被害が生じている間の賃料を減免した場合、その免除による損害の額は、寄附金に該当しません。税務上の損金として計上することができ、法人税の負担軽減ができます。